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主に文芸書などの読後感想をメインに 独断と偏見大いにありで呟いていこうと思います。
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秦恒平「青井戸」読了。読後感なしだったのは、あの短編を一年がかりで読んだからだと思う。読み直す価値のありそうなものという印象です(汗)。
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●三島由紀夫「荒野より」の中で、谷崎潤一郎論を読んだ。なぜあの彼の感性に昔は狂ったのだろうと思う。若いから蹂躙されていたのだと思う。もし小生が彼を評価する何かの審査委員だったら、「意味不明、一人よがり、何の根拠もない論理。それをポエジーと思い込んでいる。読者を馬鹿にするな!」といってやりたいと思った。決して頭なんか良くない。ただ東大卒がこちらぼんくらたちを惑わすのだと思った。あ~、わが青春を返してくれ!今頃気づいたのだからぼんくらも重症であった。(笑い)
空中庭園・角田光代著はものすごい才能。少なくとも業界編集者は飛びつくだろう。会話はまジー?とかゼッテい?(まじめ?絶対?)なんて言葉を平気で使って一つの世界を構成している。嘗ての三島由紀夫に言わせれば、格調高き文学ではないといわれそうだ。それがいま主流になっているみたいだ。読者層を拡張するにはもってこいのはず。その本の内容はといえば、16歳の視点で作るドラマから40歳くらいの夫婦や60歳の祖母までを軽く一気に第一人称で書き上げているのだ、一人の作家がである。いまやこれほどの才能技量スキルがなければ商品価値はないのだろう。俳句のような「だからどしたの?」的文学は成り立たないようだ。さて引き続きその三島由紀夫の著作「荒野より」を読み始めた。彼、自殺する5年ほど前40歳頃の作品だと思われる。神田古書店の出店で見つけたものだ。近々に読後を公開しようと思う。(21・2・21文芸)
●灰谷健次郎の対談集「われら命の旅人たり」を楽しく読んだ。中でも宮崎学さんとの対談。宮崎さんは今でもゴミ捨て場に遭遇すると、嘗ての習性か、良いものがあると拾いたくなり、良い服があるときは着替えてしまいそうになるという。良寛さんの現代版。何のこだわりもない詩人とでも言うのだろう。いまだに奥さんにたしなめられるほど放浪癖が顔を出すらしい。「これほど印税が入ってくるというのに、物を拾ってこないで!」(笑い)。こんなくだりが多い本である。下手に作られた直木賞物を読んでいるより生と死の命すれすれの話は楽しい。紙一重という言葉があるが、気がつかないでも、あちこちに転がっているような気がする。踏みつけないようにしたいものだ。(21・1・31文芸)
 金井美恵子、同い年である。長い小説(エオンタ)は、ポエムのように感性だけが文字となって流れている。まるで俳句の長編版といったらいいのか。エオンタとは「存在するものたち」とギリシャ語でいうそうだ。読んでいてついていけるのだが、まねはできない。そういえば、いま人気の若手作家の作品は時間さえあれば、まねはできそうなのだが、金井美恵子のはそうはいかない。それだけ特異な才能の持ち主なのかもしれない。ファンは多いと聞くし、小生も今はやりのものは長編であればあるほど飽きてくるが、彼女のものは、いつの間にか読み終えているといった感じである、一行一行ボードレールの詩の連続、また俳句の裏側を読んでいるようで不思議な充実感がある。全集のなか、あと何編かの作品が未読。読む予定である。(20・12・13文芸)
丸山健二「夜、でっかい犬が笑う」と村上春樹「ノルウェイの森」読了。
前者、当時最年少で芥川賞を受賞と騒がれた作家である。たぶん男好きな三島由紀夫が大いに薦めたと記憶している。小生もよくオートバイ作家作品を読んだものだ。改めて彼の作品に接してみて、気がついたことがある。自分の作品も彼をまねしていたような気がする。青臭い彼の発想は若者の時には傾倒するが、こちらが拝借しようとすると幼稚となる。その違いが今しっかりと彼とわたしの格差となった。
後者、音楽のタイトルでわくわくしたものだが、平たく言えば、若者のエロ小説としかの感想しかない。見ただけ時間の損失だった。彼がなぜあれほど騒がれているのかというのも、こちらの感性のなさだろうか。それも格差のついた根拠か。(20・11・23文芸)
自費出版のようなので、なかなか目にとまらないのであらすじを言うと、大学を出て、今ちり紙交換業務としての風景を過去の自分を振り返りながら描いているものだ。新しい世界が見えてきて楽しかったが、主人公の変貌がなんとなく寂しいものになりそうでつらいものがあった。学生運動から海外遊学、帰ってきてから軽い詐欺的な性格に何の疑問もなく、変貌しつつあり、最後は自分を偽り同情を買うようにして一人のホステスの紐になりそうなところで終わる。自分も含めて、似たような成長プロセスは誰にでもあるものだが、せめて物語の内面部分だけでも拒否してほしい文脈があったらよかったと思うのだが。もしかしてこちらの読みが浅かったかな、行間に描写されていたのかもしれない。
 いまどき読み終えた谷崎潤一郎の「細雪」。全集物でまだ読んでないもの、何冊かのうちの一冊だ。若いころに買ってまだ読み残しのものを毎日2ページづつ読んでいる次第。死ぬまでに積ん読を解消しようと始めた、とぼけた決意だ。何年かかったかな。もっとも平行して本は読んでいるうちの一冊である。

 座右の書は繰り返し毎日読み、今はやりの文庫本などは仕事移動中・通勤中などに読み捨てる。そして古典はインターネットで、と醜い貪欲さ。バイバイするまでに、何冊読めるかが楽しみなのだが。

 さて「細雪」。三姉妹の物語、谷崎の50歳過ぎてからのもので集大成だろうといわれているようだ。なるほど若いころの「刺青」なんかはどきりとする表現があったようだが(あまり記憶にない)、これはまた、まず句読点がいつまでたっても出てこないさらりと読み続けたまえ、といった代物。メリハリの利きすぎた現代作家の小説になれてしまうと、「庭の柿の木に実が着いた」なんて話は、受けないのかもしれない。

 字間とか行間に味が見え隠れする、私の好きな俳句のような文学は、昔の全集を引っ張り出してこないとお目にかかれなくなった。これも時代の流れなのかもしれない。(20・2・15)
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